インタビュートップ > Vol.10 ポルシェジャパン株式会社 代表取締役社長 七五三木 敏幸

ポルシェジャパン株式会社 代表取締役社長 七五三木 敏幸

ポルシェジャパンの歴史は1995年に遡る。ドイツ ポルシェAG社の100%出資子会社「ポルシェ自動車ジャパン株式会社」として設立。2年後の1997年に社名をポルシェ ジャパンへと変更。それまで正規輸入元であったミツワ自動車から輸入権の譲渡を受け、1998年より営業を開始する。1998年には1,487台だったポルシェの国内新車登録台数は、2014年には過去最高となる5,385台にまで成長を遂げている。昨年2代目の社長に就任した七五三木 敏幸氏にこれからのポルシェジャパンの目指すところについて話を伺う。

ビジネスの基本は人。日本には世界で一番911を売るセールスマンがいます。

加藤 ポルシェ本社は日本を重要視してくれているのでしょうか?

七五三木 本社は日本を贔屓してくれています。つい先日本社で2014年の世界中のトップセールスマンを1位から100位まで一同に集めて表彰する会があったんです。日本から3名が選ばれて一緒に行ってきたんですが、市場規模で見ればナンバー1マーケットがアメリカでその次が中国、日本は5番目なんです。しかし、その表彰の途中で「ポルシェの真髄であるスポーツカーの販売割合がもっとも高い国」ということで、約6割がスポーツカーだった日本が世界一と発表されました。しかも、その3名の日本人のうちの1人が、「世界で一番911を売るセールスマン」として表彰されまして、式が終わると各国のセールスマンが彼に握手を求めてきて、賞賛の声をかけている。うれしかったですねえ。

加藤 なるほど、単純に台数で見るだけでなく日本市場をきちんとリスペクトしてくれているわけですね。

七五三木 これによって日本のプレゼンスはさらに高まったと思います。日本は成熟したマーケットで、知識も経験も見識もあって、ちょっとやそっとのものでは触手が動かないという認識が本国にもある中で、911をはじめとするスポーツカーがこれだけ日本のマーケットで支持されていることは大きな自信にもなっている。われわれ日本サイドとしても、ぜひこの流れを続けていきたいと思っています。

加藤 一方でいまやポルシェもスポーツカーだけじゃなくて、SUVもセダンもある。そこでの競合との差別化はどうしていくのですか?

七五三木 ポルシェってそこが非常に賢くて、SUVであれセダンであれ、足すものは“スポーツ”だけなんです。例えばミッドサイズSUVのマーケットにチャンスがあると見てマカンが投入されたわけですが、大切なのはスペースユーティリティがどうだということよりも、ATじゃなくてPDKであること、なんです。そういった部分は911と同じです。

ですから、コミュニケーションとして難しいかもしれませんけど、ポルシェが作ったSUVと言いたいわけではなくて、SUVというカテゴリーにおけるスポーツカーだと、ポルシェがスポーツという機能をSUVに足したのだと言いたいわけなんです。

加藤 実は私もプライベートではポルシェに乗っているんですが、ポルシェって本当に商売がうまいなあと思うのが、あとからあとからスポーティなのがどんどん出てくる。また後出しじゃんけんされたよ、本当にいつ買えばいいんだよって。そして、一度その味を知ると、離れられなくなる。怖くないでしょう、競合のこと(笑)。

七五三木 いやいやいやいや(笑)。ありがたいことに、多くの競合各社が仮想敵を911にしてくださった。それは認められているということですから大変ありがたい。その大きなアドバンテージの1つとしてRRという駆動方式があることは各社ご存知なわけです。しかし、どのメーカーもそれには手を出さない。

加藤 出さないですねえ。出せない。

七五三木 要はRRで、あの大きさで、あの性能のものを、あのコストで出せますかということだと思うんです。

加藤 非常に難しいでしょうね。いやポルシェだって本当はやめたくてしょうがなかったわけですよね(笑)。それが924や944や968や928という、FR(フロントエンジン/リアドライブ)を顧客が認めなかったという歴史がある。

七五三木 それが結果的にいまに繋がっているわけですね。ですから、911のお客様ももちろん競合ブランドにも試乗されておられると思うんです。ただ、乗ってみると「やはりテイストとしてこっちだな」と、選んでくださる方々がたくさんいる。

傲慢だと言われるかもしれませんが、乗っていただければ絶対に後悔しないと思います。逆に言えば、クルマ好きでポルシェに乗ったことがないまま死んでしまうなんて絶対に後悔しますね(笑)。

加藤 なんて傲慢な(笑)。でも本当だから言い返せないんですよね。逆にいま何か課題として感じられていることはないのでしょうか?

七五三木 逆説的かもしれませんけど、ポルシェといったときに、すべからくみな911を指します。ですから、カイエンやパナメーラのことももっと知っていただきたいですし、ポルシェは環境に優しくない企業イメージをもたれているかもしれませんが、しかしわれわれは918スパイダーも含めれば、パナメーラ、カイエンと3車種のプラグインハイブリッドをもっているわけです。そういう認知はまだまだ足りないと感じています。

加藤 そこが改善されれば、台数はさらに飛躍的に伸びていくとお考えですか?

七五三木 台数は経済の動向に連動しますし、いつも販売店の社長とも話すのですが、1988年以降の輸入車販売台数の推移を見ると、バブルがあって1996年が史上最高で、そこから落ちてまたあがってリーマンがあってと、何が言いたいのかと言うと、どん底の時代が3回ある。そのときに経営をしなきゃいけないわけです。いまは好調なこともあって、よく目標は7,000台とか1万台と聞かれるわけです。でもいまのポルシェのシェアで、どん底の時代がきたら台数は3,000?3,500台くらいでしょう。それで経営できる体制にしてくださいと各販売店にお願いしているんです。

加藤 もう昨年の販売台数は5,000台も超えているというのに、随分と用心深い気がしますが。

七五三木 まずは効率をあげて、それで6,000、7,000という数字をポルシェジャパンが達成できたら利益は2倍にもそれ以上にもなるわけです。そのときにお願いしているのが、その利益の半分は社員に還元してあげてくださいと。ポルシェのお客さまは、店にいらして、担当セールスなりメカニックがいないと「彼以外にはクルマは触らせない」と帰ってしまうような方がたくさんいらっしゃる。その信頼関係が、販売店にとってひいてはポルシェにとっての財産です。ビジネスの基本は人ですから、そういう人たちをどんどん増やしていきたい。社員に還元してもらって、ポルシェセンターで働くことにプライドをもっていただきたい。そこで働くスタッフの家族にもハッピーになっていただきたい。ですからわれわれも利益をだせるように努力しますから、それで一緒にやりましょうよって、お願いしています。

加藤 かつて小林彰太郎もよく言っていましたが、“プライド&ジョイ”ですね。ポルシェの強さはプロダクトも人も、まさにそれなんでしょうね。

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インタビュアー:カーグラフィック代表取締役社長 加藤 哲也
1959年生まれ。東京都出身。大学卒業後はテレビ番組制作会社に勤務。1985年、出版社である二玄社へ転職。自動車専門誌『カーグラフィック』に配属される。2000年に編集長に就任。2007年には姉妹誌であった『NAVI』の編集長も歴任した。2010年に二玄社からカーグラフィックの発行を引き継ぎ同社を設立、代表取締役社長を務める。

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