インタビュートップ > Vol.20 ベントレーモーターズリミテッド ジャパン&コリア代表 ティム・マッキンレイ

ベントレーモーターズリミテッド ジャパン&コリア代表 ティム・マッキンレイ

日本におけるベントレーの歴史は古く、1964年、今から約50年前コーンズによって輸入販売が開始される。1998年にフォルクスワーゲングループ傘下となり、2002年にベントレーモーターカーズジャパン(現ベントレーモーターズジャパン)を設立。2003年、2ドアクーペ、コンチネンタルGTの登場によってベントレーの新時代が幕開けする。日本法人設立当時から代表を務めるティム・マッキンレイ氏に今後の展望について話を伺う。

ベントレーモーターズリミテッド ジャパン&コリア代表
ティム・マッキンレイ
1961年生まれ。イギリス出身。1986年コベントリー大学(政治学)卒業後、ローバーグループに入社。1995年、ウォリック大学でMBAを取得し、翌年ローバーグループジャパン入社のために来日。ランドローバーブランドのジェネラルマネージャーに就任。1999年、ベントレーモーターズリミテッド アジアパシフィックダイレクターに。
2015年現在はベントレーモーターズリミテッド ジャパン&コリア代表を務める。
インタビュアー:カーグラフィック代表取締役社長 加藤哲也

英国車である、ベントレーらしさは今も昔も変わりません。

加藤 たしかティムさんに初めてお会いしたのは、まだローバージャパンにいらした頃ですよね?

マッキンレイ そうですね。もうかれこれ20年くらい日本にいます。

加藤 そもそも日本にいらしたきっかけはなんだったんですか?

マッキンレイ 当時はランドローバーのUKに在籍していて13年間くらい務めていたのですが、海外赴任のチャンスがあったのです。その候補の1つに日本があったのですが、当時ローバーはホンダとも提携していましたし、日本とのやりとりがありました。それで興味を持って、日本への赴任を希望したのです。

加藤 20年前の、初めての日本の印象はどうでしたか? 

マッキンレイ 当時はまだあまり日本の情報もなくて、実は正式に赴任する前に10日間ほど視察にきたのですが、街の標識には英語の併記がないし、レストランにも英語のメニューがない。驚いたのと同時に、とても興味を持ったことを覚えています。

加藤 確かにそうでしたね。いまもまだ日本にはグローバル化が足りないところもありますが、東京オリンピックに向けてどんどん整備されていくと思います。ところでティムさんはやはりクルマが好きで、この仕事につかれたのですか?

マッキンレイ そうですね。いわゆるガソリン中毒です(笑)。私が生まれた当時、イギリスで生まれ育った男の子はみんなクルマのことが好きでした。身のまわりにはレースがあり、たくさんの博物館があり、土壌、風土の1つとしてクルマがあった。 学生時代にはミニでオックスフォードに通っていたのですが、あるとき真上を飛行機が飛んだのかと思うくらいの轟音とともに4〜5台の古いベントレーが目の前を走っていきました。とても感激したのを今も覚えています。あの当時にベントレーを身をもって体感していることは、いまの自分にとっても大切なことだと感じています。

加藤 ティムさんはご自身でレースもされるのですか?

マッキンレイ 10代の頃にマーシャルをしていたことがあるのですが、あまりにもたくさんの事故を見たので、自分でレースをすることはありませんでしたね(笑)。

加藤 なるほど、マーシャルですか。やはりエンスージアストの国らしい話ですねえ。ベントレーに移籍されたのはいつのことですか?

マッキンレイ 1999年のことです。ベントレージャパンが出来て、代表の職につきました。

加藤 もう約16年ですから、外国人の代表としてはもっとも長く日本におられるのではないでしょうか。そのあいだにベントレーも大きな変化があったのだと思いますが、当時はいかがでしたか?

マッキンレイ そうですね。わたしがベントレーに来る以前は、日本における年間の販売台数はわずかに40〜50台くらいでしたから、ベントレーは本当に希少なモデルでした。

加藤 それがフォルクスワーゲングループに入って、フェルディナント・ピエヒの戦略の基にダイナミックな変革を迎えたわけですが、これほどまでに日本市場で成長すると思っておられましたか?

マッキンレイ コンチネンタルGTをローンチするときに、まず市場分析を行いました。どういったモデルを、どの価格帯で、どれくらいの台数で、それに対応するために必要なディーラーネットワークはこれくらいでと5カ年計画を策定したのです。実はまだその資料が手元に残っています。リーマンショック前の2006年のピーク時には約500台の販売を記録したのですが、それは当時の予測値に非常に近い数字でした。

加藤 なるほど。コンチネンタルシリーズの登場で、日本市場では一気に10倍にまで成長したわけですね。もっとも重要視したのはなんだったのでしょうか?

マッキンレイ ラグジュアリーカー市場においてどのポジションに位置付ければ良いのかということに関しては、非常に多くのディスカッションを重ねました。それまでのベントレーは3,000万円超のクラスにありましたが、コンチネンタルGTは2,000万円台のクラスで出そうという結論に達したのです。それによってこれまでは、ベントレーのことは知っていても高すぎると敬遠していた人たちが、この価格帯であれば手が届くと検討してくれるようになった。そのことが大事なことでした。

加藤 ブランドイメージにおいて、大衆車であるフォルクスワーゲングループに入ることによるネガティブなイメージはなかったのでしょうか? 

マッキンレイ それについても議論を重ねました。そして実際は驚いたことにお客様は現代の自動車ビジネスはグローバルで行う必要があることをよくご存知でいらっしゃる。我々のプロダクトがベントレーらしさは変わらず、イギリスのエッセンスの凝縮したメイド・イン・イングランドの製品であると理解してくださっているのです。そして我々にとってはフォルクスワーゲングループのリサーチ能力やテクノロジー、信頼性や輸入業務、PDI、ロジスティックなどたくさんのメリットを享受することができます。

加藤 コンチネンタルGTはW12気筒エンジンに4WDの組み合わせで、他社にない機構をもったモデルで、登場したときにはとても驚きました。

マッキンレイ ベントレーらしさとは何かを追求し、それを実現するために作られたモデルです。大トルクでスムースなエンジン、安定感のある乗り心地、われわれに何を期待されているのか、ベントレーらしさとはなんなのか、それを過去の経験から学んだからこそ成功したのです。

加藤 最近はV8モデルも追加されましたが、顧客層などに変化はありましたか?

マッキンレイ 少し若くなりました。これまでベントレーというと50代後半が主な顧客でしたが、いまでは20代後半から80代まで幅広い層に支持されています。

加藤 ベントレーには、モータースポーツの歴史もありますが、日本ではあまりそれをアピールしてこなかったように思いますが、それはなぜでしょうか?

マッキンレイ ル・マンなどは日本から物理的な遠さもありますし、それに適したモデルもありませんでした。しかし、今年からコンチネンタルGT3がGTアジアに参戦しており、6月に岡山、7月に富士でレースを行ったのですが、そこにお客様を招待するイベントを行いました。実際には若いお客様がたくさんご来場くださって、想像以上にレースへの関心が高く驚いています。これに関してはぜひ来年も続けていきたいと思っています。

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